2024.07.11
はじめのご相談内容 | 「前歯を見られるのがコンプレックスで、人前で思い切り笑えない。見た目を改善したい」とご相談いただきました。 |
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診断結果 | 拝見したところ、上の前歯2本は過去に神経を取る治療が行われており、被せ物をしていない右上の前歯は神経を失ってから長期間経過しているため、歯自体の色が暗く変色し、見た目が損なわれていました。 もう一方の左上の前歯は、金属フレームの表面にプラスチックを貼りつけた被せ物「硬質レジン前装冠」を装着しているものの、経年劣化で不自然な色調となっています。 前歯は人目につきやすく、患者様も見た目にコンプレックスを感じていたため、改善が必要と診断しました。 |
行った治療内容 | 見た目を改善する方法として、前歯2本を透明度が高く天然歯のような自然な色合いと強度を兼ね備えた白い被せ物「オールセラミッククラウン」による治療を提案しました。
以前と同じレジン素材だと劣化したときに汚れが付着しやすくなり、歯肉炎や虫歯のリスクが高まることから、新しい被せ物で修復する必要があることも併せてご説明しています。 また、治療により前歯だけが不自然に白くなりすぎないよう、光の透過性が高いガラスセラミック「e.maxセラミック」のフレームを使用し、その上に何層にもセラミックを重ねる「レイアリング法」で自然な見た目に近づける方法をおすすめしたところ、治療に同意いただきました。 まず、右上の前歯の形を整え、左上の前歯は古い被せ物を除去して形を整えます。仮歯である「プロビジョナルレストレーション」を装着し、使用感を確認していただいたところで初回の治療を終了しました。 約2週間後の来院時に問題がなかったことを確認し、歯と歯ぐきの境目の溝「歯周ポケット」に糸を挿入して境界部を明瞭にする「二重圧排法」を行ったあと、歯の形を細部までしっかり再現できる「シリコーン印象材」で精密な型取りを行いました。 続いて、高性能の一眼レフカメラで周りの歯を撮影し、自然な色調を再現するために色味を確認します。熟練の歯科技工士が、e.maxセラミックのフレームにレイアリング法でセラミックを重ね、周りの歯と色合いを合わせ、天然歯に近い色調の被せ物を作製しました。 型取りから2週間後、完成したe.maxのオールセラミッククラウンの適合を確認したところ、問題がなかったため接着性の高い「レジンセメント」で装着して治療を終了しました。 |
治療期間 | 約4週間 |
治療回数 | 3回 |
およその費用 | 約316,000円 (e.maxオールセラミッククラウン2本、仮歯、シリコーン精密印象、および5年保証の費用も含む) |
治療のリスクについて | ・装着に際し、天然歯を削る必要があります ・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります ・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です |
クリニックより | レジン素材は劣化とともに細菌の塊である「プラーク」が付着しやすくなり、歯肉炎や虫歯のリスクが高くなります。また、被せ物と歯との境界部に段差や隙間が生じると、さらにプラークが溜まりやすくなります。
被せ物を長持ちさせるには、“適合精度の高い治療”ができるかどうかがカギとなります。 本症例では、糸を歯周ポケットに挿入して境界部を明瞭にする二重圧排法と、歯の形を細部までしっかり再現できるシリコーン印象材を駆使して精密な型取りを行うことで、適合精度の高いセラミッククラウンを作製しました。 熟練の歯科技工士が手掛ける何層にもセラミックを重ねる作製法「セラミックレイアリングテクニック」により、天然歯に近い色調が再現されました。 治療後には繰り返していた歯肉炎も改善され、健康的で美しい口元を取り戻しています。 |