2024.09.02
はじめのご相談内容 | 「左上のブリッジが外れてしまった。食いしばりの癖があるので安心して噛める方法で治したい」とご相談いただきました。 |
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診断結果 | 拝見したところ、左上の奥歯が1本欠損しており、それを補うために前後の歯を土台にして連結された被せ物である「ブリッジ」が装着されていました。しかしながら、ブリッジが外れ、土台となっている前後の歯は天然歯が露出している状態でした。
もともと装着されていたブリッジは、土台の歯の一部分を削る「インレーブリッジ」でした。インレーブリッジは歯を削る量が少なく済む反面、ブリッジと歯が接着する面積が小さいため、固定力が弱くなりがちです。その結果、患者様の食いしばりの癖や噛む力に耐えきれず、ブリッジが脱落したと考えられます。 このままの状態を放置すると、噛み合わせのバランスが崩れたり、露出している天然歯部分が欠けたりするおそれもあることから、早急に治療が必要と診断しました。 |
行った治療内容 | 歯の欠損部を補う方法として、以下2つの治療をお伝えしました。
①被せ物タイプのブリッジ「クラウンブリッジ」 患者様は「クラウンブリッジは歯を削ったり今後も外れたりするリスクがあるので、安心して噛めるインプラントで治療をしたい」との理由から、②のインプラント治療を希望されました。 一般的に、欠損している奥歯部位は副鼻腔と呼ばれる頬のあたりにある空洞「上顎洞」までの距離が限られていることから、CT検査であごの骨の厚みを確認したところ、約10mmのインプラント体がぎりぎり入る状態でした。 そのため、CT画像をもとに骨の厚みや神経の位置などを立体的に確認できるシステム「インプラントシミュレーションソフト(ノーベルクリニシャン)」を用いて、インプラント体を埋める正確な角度・方向・深さなどを決定しています。 埋入手術の際は、最初に局部麻酔をしたのち、口腔内に装着したノーベルガイドに従ってインプラント体を埋め込む「ガイデッドサージェリー」を行い、正確な位置や角度で埋入しました。 今回の治療では、歯肉を切開しない「フラップレス手術」を採用しているため、傷口は小さく済み縫合も不要だったことから、治療に対する患者様の負担を軽減することができています。 手術後は、CT画像によりインプラントが理想的な位置に埋入されていることを確認し、インプラントの頭部分を歯ぐきの上に貫通させるための部品「ヒーリングアバットメント」を装着しました。 それから約4ヶ月、インプラント体と骨がしっかり定着するのを待ち、お口の中を撮影するカメラ「口腔内スキャナー」を使用して、最終的な人工歯を作製するための型取りを行いました。 後日、できあがった被せ物のフィット具合や噛み合わせに問題がなかったため、インプラントと被せ物を小さなネジ「スクリュー」で固定しました。 |
治療期間 | 約5ヶ月 |
およその費用 | 466,000円 (CT検査、ノーベルガイド、埋入手術、ジルコニアの被せ物の費用を含む) |
治療のリスクについて | ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います ・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎などにかかる可能性があります ・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があります ・高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります |