2024.10.06
はじめのご相談内容 | 「右下奥歯の銀歯周辺を歯ブラシで磨くと出血する。古い銀歯なので取り替えたい」とご相談いただきました。 |
---|---|
診断結果 | 拝見したところ、右下の奥歯に装着されている銀の被せ物「パラジウムクラウン」が劣化していました。 また、歯と歯茎の境目の溝「歯周ポケット」には、細菌の塊「プラーク」や石灰化した沈着物「歯石」が付着しており、歯茎が炎症を起こす「歯肉炎」が認められます。 パラジウムクラウンの縁が歯茎に接していたり歯茎の内部に入り込んでいたりすると、プラークや歯石が付着しやすく、結果として歯茎に炎症を引き起こすリスクが高まります。 この状態を放置すると、歯肉炎が徐々に進行して歯茎や歯を支えている骨が溶ける「歯周炎」が起こり、痛みが出たり歯を失ったりするおそれがあります。 以上のことから、劣化しにくい素材で被せ物を作り直す必要があると診断しました。 |
行った治療内容 | はじめに古い被せ物を除去し、歯周ポケットの中に隠れたプラークや歯石を取り除いて歯肉炎を改善させたあと、新しい被せ物を作製する治療を提案し、同意いただきました。
新しい被せ物には、劣化しにくく抗菌性もあり、歯肉炎のリスクを軽減できる自由診療の白い被せ物「セラミッククラウン」をおすすめしています。 まず右下奥歯の被せ物を取り除いて確認したところ、被せ物の下で虫歯が再発していました。そこで、虫歯部分を染め出す薬液「う蝕検知液」を用いて、取り残しがないよう虫歯を丁寧に除去しています。 1週間後、歯肉炎の改善が確認できたため、歯と歯茎の間に糸を入れ境目を明確にする「歯肉圧排法」と、変形が少ないシリコーン印象材により精密な型取りを実施しました。その後、外した仮歯を再び装着し、2回目の治療を終了しています。 被せ物には、塗料を染み込ませて自然な色合いを再現する「ステイニング」を施し、周囲の歯となじむように仕上げています。 それから約1週間後、完成した被せ物がぴったりと適合しているかどうか、噛み合わせに問題がないかを確認しました。また接着前処理として、ジルコニアセラミッククラウンの接着面に細かい凸凹を形成する「エッチング処理」を施し密着力を高め、無水エタノールに浸して超音波洗浄を実施しています。 最後に、接着力と耐久性を兼ね備えた「レジンセメント」で接着し、噛み合わせに問題がないことを確認したうえで、治療を終了しました。 |
治療期間 | 約3週間 |
およその費用 | 138,000円 ジルコニアセラミッククラウン(ステイニング)、仮歯、精密な型取りを含む |
治療のリスクについて | ・治療中に痛みを伴う場合があります ・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります ・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります ・装着に際し、天然歯を削る場合があります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります ・正しいブラッシングやメンテナンスを行わない場合、歯石の付着や虫歯が生じる可能性があります |