2024.10.08
はじめのご相談内容 | 「以前、右下奥歯の根管治療を行っていたが、途中で放置して数年が経過してしまった。最近うずくような痛みが出てきたので、心配になって来院した」とご相談いただきました。 |
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診断結果 | レントゲン撮影をして詳しく拝見したところ、右下奥歯(第1大臼歯)は歯根内部の細菌感染を取り除く「根管治療」が中断された状態です。
治療を中断したことが原因で、歯を支える組織が炎症を起こして骨が溶ける「骨吸収」が生じており、その部位に膿が溜まる「急性化膿性根尖性(こんせんせい)歯周炎」が認められました。 このまま放置すると、痛みがさらに強くなって顔が腫れたり、骨吸収の範囲が拡大して周囲の歯に悪影響を及ぼしたりするおそれがあります。 骨吸収もかなり進行しており、歯を温存するのが困難であることから、右下奥歯を抜いて再び噛める状態に修復する必要があると診断しました。 |
行った治療内容 | 初回の来院時は痛みを和らげることを優先したため、根管治療を行って歯根内部をしっかりと洗浄し、患者様には鎮痛剤と抗生物質をお渡ししました。
次の来院時に、右下奥歯(第1大臼歯)を残すことは難しいことから抜歯が必要であるとお伝えし、抜歯後の治療法について以下の2つを提案しました。 1:ブリッジ 2:インプラント それぞれの治療について丁寧に説明したところ、患者様は健康な歯を削ることに抵抗があるという理由から、インプラント治療を希望されました。 まず右下奥歯を抜き、同時に骨を再生させる「骨補填材」を抜歯後の穴に入れる「ソケットプリザベーション」を行います。 前回のシミュレーション結果をもとに、インプラント手術の流れやリスクについて患者様に詳しく説明し、シミュレーションによって決定したインプラントの正確な埋め込み角度や方向、深さを手術時に再現するためのインプラント治療用マウスピース「ノーベルガイド」を作製しました。 インプラント手術当日は、事前に歯のクリーニングと消毒を行い、口腔内を清潔な状態にします。 手術から3ヶ月後、インプラントが骨に定着したことを確認し、口腔内を撮影するカメラ「口腔内スキャナー」を用いてインプラント部分の被せ物を作製するための型取りを行います。 最終的な被せ物のフィット感や噛み合わせに問題がないことを確認したあと、インプラントと被せ物を小さなネジ「スクリュー」で固定し、ネジ穴には白いプラスチック素材のペースト「コンポジットレジン」を充填して、治療を終了しています。 |
治療期間 | 約7ヶ月 |
およその費用 | 516,000円 (ソケットプリザベーション、CT検査シミュレーション、インプラント1本埋入、ノーベルガイド、インプラントの土台、ジルコニアクラウンをすべて含む) |
治療のリスクについて | ・持病をお持ちの方や、服用中のお薬の種類によっては、外科処置ができない場合があります ・外科処置後に腫れ、出血が生じる場合があります ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います ・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎などにかかる可能性があります ・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります |