2025.04.01
治療前
治療後
はじめのご相談内容 | 「右側がしっかりと噛み合わず、歯ブラシで磨くと出血するようになった」とご相談いただきました。 |
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カウンセリング・診断結果 | 拝見したところ、右上の手前側の奥歯には、見た目が自然で劣化しにくく抗菌性に優れた素材「セラミック」に金属を裏打ちしてある白い被せ物「メタルボンド」が、奥側の歯には金属の被せ物「メタルクラウン」が装着されていました。これらは、約20年前の治療の際に装着したものです。 メタルボンドはセラミックの部分が摩耗しており、内部の金属が露出して噛み合わせが低くなっています。その周囲の歯茎は、劣化した金属の影響で歯茎が炎症を起こす「歯肉炎」を発症していました。 メタルクラウンも同様に劣化し、歯肉炎の原因になっています。 このまま放置すると、噛み合わせのバランスが崩れて顎の関節に炎症が起こって痛みが出る「顎関節症」や、すでに発症している歯肉炎が進行して歯を支えている骨を溶かす「歯周炎」になるおそれがあるため、右上奥歯2本の被せ物を新しく作り直す必要があると診断しました。 |
行った治療内容 | 診断結果を丁寧にお伝えしたうえで患者様には以下の治療方法を提案し、同意いただきました。 ・右上奥歯2本の被せ物を外し、一度仮歯に置き換える ・適切な噛み合わせの高さになるよう調整する ・金属アレルギーの心配がなく、奥歯の強い噛み合わせに耐えることができる「ジルコニアクラウン」で最終的な被せ物を作製する 今回はジルコニアクラウンの中でも、ジルコニアの表面に着色を施して仕上げる「ジルコニアステイニングクラウン」を選択しました。セラミックを使用せず、人工ダイヤモンドと呼ばれるジルコニア単一で作製することで、高い強度と審美性が期待できます。 まずは右上奥歯2本に装着されている被せ物を外し、虫歯の有無を確認しながら慎重に歯の形を整えました。 また歯の周囲には、細菌の塊である「プラーク」が唾液の成分で固まった「歯石」が沈着していたため、取り残しがないよう除去しています。 その後、準備していた仮歯を装着し、しっかりと噛み合うように調整しました。 10日ほど仮歯で過ごしていただき、噛み合わせに問題がないこと、歯肉炎が改善したことを確認しました。 仮歯を外し、歯の周りに巻く専用の糸「圧排糸」で歯茎をわずかに押し広げる「歯肉圧排」を実施しながら、細部までしっかりと再現できる「シリコーン印象材」を用いて精密な型取りを行います。 歯肉圧排を行うことで歯と歯茎の境目がわかりやすくなり、歯にぴったりと合った被せ物を作製することが可能です。 後日、完成したジルコニアステイニングクラウンが歯にしっかりと合っているか、噛み合わせに問題がないかを確認し、接着強度を高めるために以下の前処理を行いました。 ジルコニアステイニングクラウンの接着面:特殊な薬液を塗布して加工する「エッチング(酸処理)」を行ったあと、清潔にするための消毒液「無水エタノール」に浸す超音波洗浄 被せ物を装着する歯:歯を削ったことで露出した内部組織「象牙質」の表面に、セメントを接着しやすくする薄い膜を作る「ボンディング処理」 最後に、耐久性があり接着性に優れている「レジンセメント」を用いて装着し、治療を終了しています。 |
治療期間 | 約3週間 |
治療回数 | 3回 |
おおよその費用 | 約276,000円 ジルコニアクラウン2本 (ステイン法、仮歯費用を含む) |
治療のリスク | ・装着に際し、天然歯を削る場合があります ・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります ・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です |