2025.04.01
治療前
治療中
治療後
はじめのご相談内容 | 「右上奥歯の銀歯の見た目が気になる。また、食いしばりが強く銀歯の周りの歯が繰り返し欠けてしまうので、こちらも治してほしい」とご相談いただきました。 |
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カウンセリング・診断結果 | 拝見したところ、右上奥歯4本には銀の小さな詰め物「パラジウムインレー」や、パラジウムインレーよりも広範囲を覆う銀の詰め物「パラジウムアンレー」が装着されていました。 口を開けた際に、手前側3本の銀歯がとくに目立っています。 また強い食いしばりの影響で、詰め物周囲の歯が噛む力により著しく擦り減る「咬耗(こうもう)」が見られました。咬耗が進行すると、歯と詰め物の境目に段差が生じて汚れが溜まりやすくなり、虫歯のリスクが高まります。 さらに、もともと噛む力が強い奥歯に食いしばりなどの過度な負担がかかると、詰め物が外れたり歯自体が欠けたりするおそれもあります。 以上のことから、歯を長持ちさせ、周囲の歯となじむ材質の詰め物で修復する必要があると診断しました。 |
行った治療内容 | 患者様は「目立つ銀歯を優先的に治療したい」と希望されていたため、手前側3本の歯を治療することをお伝えし、そのうえで以下2つの治療方法を提案しました。 ①現在の詰め物と同じ大きさのインレーやアンレーで修復 歯をあまり削らずに治療できる一方で、詰め物周囲の歯が欠けるおそれがある。 ②噛み合わせの面を広範囲で覆う「オーバーレイ」での治療 インレーやアンレーよりも歯を削る量がわずかに増えるものの、歯の広い範囲をカバーできるため歯が欠けるリスクを軽減できる。 それぞれのメリットとデメリットを丁寧にお伝えしたところ「歯が欠けるリスクを下げたい」という理由から、②のオーバーレイを希望されました。 またオーバーレイの材質については、強い食いしばりを考慮して、劣化しにくく審美性や強度に優れた「ジルコニア」を選択しています。 まず痛みを感じにくくするための局所麻酔を行い、右上3本に装着されていた銀の詰め物を取り除きます。 詰め物の下では虫歯が再発していたため、虫歯のみを染める薬液「う蝕検知液」を用いながら、取り残しがないよう慎重に虫歯を除去しました。 次に歯の形を整え、削った部分がしみないよう、歯の神経に近い組織「象牙質」を保護するコーティング剤を塗布します。 続いて、精度の高い詰め物を作製するため、細部まで再現できて変形しにくい「シリコーン印象材」で精密な型取りを行い、仮詰めをして初回の治療を終了しました。 約1週間後、完成したジルコニアオーバーレイが歯にぴったりとフィットしていることを確認し、噛み合わせを丁寧に調整して歯に装着します。 装着時は、接着強度を高めるため以下の前処理を行いました。 ジルコニアオーバーレイの接着面:接着面に特殊な薬液を塗布して表面を粗く加工する「エッチング処理(酸処理)」を施し、無水エタノールに浸す超音波洗浄 ジルコニアオーバーレイを装着する歯:歯の表面組織「エナメル質」にエッチング処理を施し、象牙質には詰め物を接着しやすくするための薬液を塗布する「ボンディング処理」 最後に、接着力と耐久性のある「レジンセメント」を用いてジルコニアオーバーレイを歯にしっかりと装着し、治療を終了しました。 |
治療期間 | 約1週間 |
治療回数 | 2回 |
おおよその費用 | 約300,000円 (ジルコニアオーバーレイ3本) |
治療のリスク | ・治療中に痛みを伴う場合があります ・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります ・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります ・装着に際し、天然歯を削る場合があります ・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります ・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です |