東京赤坂の歯医者さん、赤坂クレール歯科クリニックです。
今回のテーマは「タバコはなぜ歯周病に悪いのか」です。
タバコが身体に悪いのは誰もが知っていることですが、実はお口の健康状態にも害を及ぼします。
例えば、タバコを吸うことは歯周病に悪いと言われていますが、
実際のところ多くの人はそれについて半信半疑ではないでしょうか。
しかしタバコが歯周病に悪いのは紛れもなく事実であり、ここではその理由を分かりやすく説明します。
歯周病になると歯肉が炎症を起こしますが、この炎症は歯周病に気付くための大切な自覚症状です。
しかし、タバコを吸っているとこうした炎症が見た目として抑えられるため、
貴重な自覚症状を見逃してしまうことになるのです。
具体的な特徴を挙げれば、タバコを吸う人は歯茎の腫れが少なく、さらに歯肉からも出血も少ないです。
このため歯周病の初期段階である「歯肉の炎症」に気付きにくく、
気付いた時には重症化してしまっているケースが多いのです。
タバコを吸うことで歯にタールが付着しますが、タールが付着するとプラークもつきやすくなります。
プラークは歯周病菌を含む細菌の塊のようなものですから、
これがつきやすくなることで当然歯周病になりやすくなってしまいます。
また、プラークがつきやすいということは、それだけ歯石ができやすいことも意味します。
歯石は時間が経ってプラークが石灰化したもので、一旦歯石になると歯磨きでは除去できません。
しかも歯石にはプラーク以上の億単位となる数の細菌が潜んでいますから、
歯石ができることは歯周病になるリスクをより高めることになるのです。
タバコを吸うことによってニコチンの影響で身体の免疫力が低下します。
身体の免疫力と歯周病、一見何の関係もなさそうに思えますがそうではないのです。
何しろ歯周病は歯周病菌という細菌に感染することで起こる病気です。
風邪や病気も含めて、こうした細菌の感染による病気を予防できるかどうかは免疫力の強さ次第です。
歯周病も細菌の感染によって起こる病気ですから、風邪同様に免疫力が弱ければ起こりやすくなるのです。
分かりやすく言えば、タバコを吸うことで歯周病菌に感染しやすい身体になってしまうのです。
「毛細血管の収縮」だけでは何が問題なのか分かりづらいと思うので、
これに関しては毛細血管の収縮が歯周病に関わる流れを説明していきます。
まずタバコを吸うことで身体の毛細血管が収縮され、その影響で貧血状態になります。
つまり血の巡りが悪くなってしまうわけですが、これはお口の中においても例外ではないのです。
さて、お口の中の血の巡りが悪くなり、さらにタバコを吸うことによる一酸化炭素の影響で、
お口の中には充分な酸素が供給されなくなってしまいます。
そうなると歯周病治療をした際などの傷跡がなかなか治らず、言わば治癒能力が衰えてしまうのです。
歯肉の老化自体は防ぐことができず、誰でも加齢によって歯肉は痩せていきます。
そんな歯肉の老化の要因は加齢だけでなく、タバコを吸うことにも関係してきます。
実際に喫煙者の歯肉の状態は、実年齢と比較して10年も20年も進んでいるのです。
具体的を挙げるなら20歳の人がタバコを吸っていれば、その人の歯肉の年齢は40歳になっているのです。
歯周病は歯肉の病気ですから、歯肉の状態次第で起こりやすくも起こりにくくもなるでしょう。
そして歯肉が老化するということは、言うまでもなく歯周病が起こりやすい状態に分類されるのです。
ここまでの説明で、タバコが歯周病に悪いことは分かっていただけたことでしょう。
しかし、タバコを吸っている人の中には「今更聞いたところでもう遅い」と思う人がいるかもしれません。
…でもそんなことはありません。禁煙することで歯周病のリスクは大きく減少するのです。
これは実際にデータとして報告されていることですが、
禁煙することで歯周病になるリスクは4割減少すると言われています。
さらに治療経過においても、元々タバコを吸わない人とほぼ変わらない状態にまで戻せます。
いかがでしたか?
最後に、タバコはなぜ歯周病に悪いのかについてまとめます。
これら6つのことから、タバコはなぜ歯周病に悪いのかが分かります。
タバコは身体に悪く、お口の中においてもそれは例外ではありません。
このため、タバコを吸っている人はこの機に禁煙することをおすすめします。
禁煙すれば、歯周病のリスクにおいては元々タバコを吸わない人とほぼ同じ状態にまで戻せます。