東京赤坂の歯医者さん、赤坂クレール歯科クリニックです。
今回のテーマは「虫歯と歯周病の違い」です。
お口の中の病気を考えた時、真っ先に思いつくのが虫歯と歯周病です。
とは言え、これらは全く別の病気ですから様々な点で違いがあります。
しかし虫歯と歯周病の違いを敢えて考える機会もそうそうないでしょうから、
ここでは虫歯と歯周病の違いをテーマにして説明していきます。
虫歯も歯周病も、引き起こされる要因はプラークの中に存在する細菌による感染です。
その点では同じですが細菌の種類は全く別物で、虫歯は虫歯菌、歯周病は歯周病によって引き起こされます。
ちなみに虫歯と歯周病は同じ予防方法ですが、どちらか一方だけ起こることがあります。
同じ予防方法なのになぜ一方だけ起こるのか?起こるのであれば同時に起こるのが普通ではないのか?
そう考える人がいますが、こうして虫歯と歯周病の要因を考えると疑問が解けるでしょう。
要因となる細菌の種類が異なる以上、一方だけ起こるのは実は珍しいことではないのです。
虫歯と歯周病はいずれもお口の中の病気ですが、症状が起こる箇所は異なります。
虫歯は文字どおり歯の病気であり、これは誰もが知っていると思うので説明は不要でしょう。
一方歯周病は歯ではなく歯肉の病気です。実は歯周病も文字からそれが連想できるようになっています。
歯周病とは歯の周りの病気、すなわち歯肉の病気というわけです。
最も、歯肉の病気といっても予防の基本は歯磨きになるので、その点に矛盾を感じる人もいるかもしれません。
これは上記で説明したとおり、歯周病も歯に付着しているプラークが要因になるからです。
虫歯は虫歯菌の出す酸によって歯が溶かされ、歯に穴があいてしまいます。
初期段階の虫歯では穴は小さいですが、進行すると穴はどんどん深くなっていきます。
象牙質まで進行すれば痛みを感じますし、神経まで進行すれば痛みは激痛に変化します。
一方歯周病は歯肉が炎症を起こし、腫れや出血といった状態を招きます。
また、進行すると歯を支えている顎の骨である歯槽骨が溶かされるため、歯がグラつくようになります。
そのまま進行が続けば歯槽骨はほとんど溶かされてしまい、歯は完全に抜け落ちてしまいます。
虫歯と歯周病では起こる症状が全く異なりますが、同様に自覚症状も違います。
虫歯の自覚症状は痛みであり、実際にほとんどの人は歯が痛むことで虫歯に気付きます。
また、冷たいものや熱いものを飲食するとしみるようになります。
一方歯周病は虫歯のような明確な自覚症状がありません。歯肉が退縮して歯が長く見える、
歯がグラつくなどの自覚症状があるものの、あくまでそれは歯周病が一定以上進行した場合です。
辛い自覚症状がないことを良く思う人がいますが、その分歯周病であることに気付いにくいのが問題です。
虫歯の治療方法の基本は、歯を削って詰め物による処置です。
ただし虫歯の進行に比例して削る範囲は深くなり、象牙質まで進行すると治療でも痛みでも感じます。
また、虫歯の進行が酷いと神経の除去、さらには治療不可と判断された場合は抜歯するケースもあります。
一方、歯周病の治療方法は歯石の除去と患者さんによるプラークコントロールが基本ですが、
やはり進行に比例して大掛かりな治療になります。歯周ポケットが深い場合は歯周外科手術を行いますし、
虫歯同様に歯を残せず抜歯が必要になるケースもあります。
虫歯と歯周病はどちらも予防が必要です。
しかし、多くの人は虫歯予防の徹底はしていても、歯周病予防は徹底していない場合が多いのです。
これは多くの人が歯周病に対して間違った認識を持っていることが原因です。
まず歯周病は虫歯のように痛まないから怖くない…この認識は大きな間違いです。
上記で説明したとおり痛みという自覚症状がない分、歯周病は気付きにくいという問題があります。
そして歯周病は高齢の人だけになる病気というイメージ…この認識も間違いです。
特に初期段階の歯周病である歯肉炎に至っては、小学生ですら起こる可能性があるのです。
このように虫歯に比べて歯周病は軽視されがちで、だからこそ歯周病で歯を失う人が多いのです。
いかがでしたか?
最後に、虫歯と歯周病の違いについてまとめます。
1. 要因 :どちらもプラーク内に潜む細菌が要因だが、虫歯は虫歯菌、歯周病は歯周病菌によって起こる
2. 症状が起こる箇所 :虫歯は歯、歯周病は歯肉の病気。漢字に注目するとよく分かる
3. 症状 :虫歯は歯に穴があき、歯周病は歯肉が炎症を起こして歯槽骨が溶かされる
4. 自覚症状 :虫歯は痛みという分かりやすい自覚症状があるが、歯周病には目立った自覚症状がない
5. 治療方法 :虫歯治療の基本は歯を削るなどで、歯周病治療の基本は歯石の除去など
6. 予防意識 :痛みがない分歯周病の予防意識が低い人が多く、だからこそ歯周病で歯を失う人が多い
これら6つのことから、虫歯と歯周病の違いが分かります。
どちらも症状や治療方法が全く異なるからこそ、虫歯と歯周病の両方にかかると非常に厄介です。
最も、予防方法は基本的に同じなので虫歯と歯周病の両方に高い予防意識を持ってください。
虫歯は痛みが理由で嫌がる人が多く、ここで言うまでもなく高い予防意識を持っている人がほとんどです。
しかし歯周病は虫歯に比べて予防意識が低い人が多いのです。
しかし歯周病は歯を失うことになるため、自分の歯を守るためにも虫歯同様の予防意識を持ちましょう。