東京赤坂の歯医者さん、赤坂クレール歯科クリニックです。
今回のテーマは「歯周病と歯肉退縮」です。
鏡で歯を見た時に何か違和感があった場合、それを気のせいと思ってはいけません。
虫歯にせよ歯周病にせよ、発症すると歯に何らかの異変が起こるため、
もしかするとその異変が違和感の正体かもしれないのです。
例えば歯周病の場合、進行すると自覚症状として歯が長くなったように見えます。
実際には歯周病で歯が長くなることなく、あくまでそれは錯覚です。
ではなぜこのような錯覚をしてしまうのか?…それは歯肉の高さが下がったためで、
歯肉が下がる、歯肉が痩せるなどの症状を歯肉退縮と呼びます。
この歯肉退縮は歯周病が原因で起こる症状ですが、
それだけではなく「間違った歯磨きの仕方」や「加齢」などが原因で起こることもあるのです。
このため、「歯肉退縮が起こった=歯周病になっている」と断言することまではできません。
歯周病は初期・中期・重度の3段階に症状が分けられていますが、
歯肉退縮は中期段階以降まで進行すると起こります。
歯周病は進行すると歯を支える骨が溶かされ、歯肉もそれにあわせて下がっていきます。
歯肉が退縮するということは歯肉が下がるということになり、
歯肉が下がると歯を覆っている歯肉の高さが下がるため、歯肉に埋まっているはずの歯の根が露出します。
そして、歯の根が露出した分だけ歯が長く見え、これが歯周病になると歯が長く見える理由です。
歯周病で歯肉退縮が起こると歯の根が露出して歯が長く見えますが、そうなると知覚過敏が起こります。
知覚過敏とは歯が刺激を受けると一瞬ピシッとしみる症状のことで、
歯の表面のエナメル質が傷つき、露出した象牙質が刺激を受けることで起こる症状です。
歯肉退縮で露出した歯の根は元々エナメル質がなく、象牙質が露出した状態になっていますから、
その箇所が刺激を受けることで知覚過敏が起こります。
つまり、知覚過敏が起こった場合は歯周病になっている可能性があるのです。
歯周病が進行すると歯を支える骨が溶かされますが、この骨は歯槽骨と呼ばれる骨です。
歯槽骨は歯を支えていますから、それが溶かされるということは歯が支えを失うということになります。
支えを失った歯は当然不安的になるため、グラつくようになってやがて抜け落ちてしまうのです。
これが歯周病になると歯が抜ける理由であり、歯肉退縮が起こった時点で既に歯槽骨は溶かされています。
このため、歯が長く見えるのであれば歯周病による歯肉退縮を疑うべきであり、
歯肉退縮が起こるほどの歯周病なら、その歯周病は進行していると考えなければなりません。
歯周病を治す基本は口の中を清潔にすることで、
初期の歯周病なら歯石の除去とプラークコントロールで治せます。
しかし、進行した歯周病の場合はそれだけでは治せないこともあり、場合によっては歯肉の切開も必要です。
と言うのも、歯周病になると歯と歯肉の境目に歯周ポケットが発生して、
歯周病の進行に比例して歯周ポケットが深くなっていきます。
そして、あまり深くなってしまうと歯肉を切開しなければそこに溜まる細菌を除去できないのです。
歯周病予防の基本はプラークの除去であり、その方法は歯磨きです。
ただ、多くのプラークの除去が必要な点を考えると歯磨きに精密さが求められます。
このため、ブラッシングだけでなくデンタルフロスを使って歯磨きすると良いでしょう。
また、定期的に口の中を綺麗にする意味で定期検診の受診も欠かせないですし、
生活習慣を改善して身体の免疫力を高めておくと良いですね。
精密な歯磨き、定期検診の受診、生活習慣の改善、この3つが歯周病予防の基本です。
いかがでしたか?
最後に、歯周病と歯肉退縮についてまとめます。
1. 歯肉退縮について :歯肉が下がる、痩せるなどの症状のことで、歯周病などが原因で起こる
2. 歯周病による歯肉退縮 :歯周病が進行すると歯槽骨が溶け、それにあわせて歯肉も下がっていく
3. 知覚過敏 :歯肉退縮で歯の根が露出すると知覚過敏が起こる
4. 歯を失う危険性 :歯周病が進行すると歯槽骨が溶かされ、やがて歯が抜け落ちてしまう
5. 歯周病の治療方法 :歯石の除去とプラークコントロールが基本だが、進行度次第では歯肉の切開が必要
6. 歯周病の予防方法 :基本は精密な歯磨き、定期検診の受診、生活習慣の改善の3つ
これら6つのことから、歯周病と歯肉退縮について分かります。
歯周病になると歯が長く見えるのは、歯肉退縮によって歯肉の高さが下がるためで、
歯肉に覆われていた歯の根が露出する分、歯が長くなって見えるのです。
最も、歯周病による歯肉退縮は歯周病が中期段階まで進行している場合に起こりますから、
つまり歯周病で歯肉退縮が起こった場合、その歯周病は既に進行していることになります。
このため、歯が長くなって見えるのであれば、早めに歯科医院に行ってください。