東京赤坂の歯医者さん、赤坂クレール歯科クリニックです。
今回のテーマは「むし歯の進行と症状」です。
おそらく、多くの人がむし歯を自覚するきっかけとなるのは、歯の痛みだと思います。
冷たいものを飲んだ時に歯がしみる、もしくは歯が痛む感覚があり、それによってむし歯を自覚します。
この時、すぐに歯科医院に行くことは間違いではないですが、この場合はむし歯が進行していることが考えられます。
そこで、ここではむし歯の進行と症状について解説していきます。
歯は主に、「エナメル質」「象牙質」「歯髄」の3つの組織によって構成されています。
・エナメル質
歯の表面の組織です。硬くて歯を保護していますが、むし歯になると酸によって溶かされてしまいます。
・象牙質
歯の大半を占めている組織で、エナメル質の奥に存在します。刺激に対して非常に敏感な特徴があります。
・歯髄
神経・血管などが通っている組織で、象牙質の下に存在します。一般的には、「神経」と呼ばれることが多いです。
むし歯の進行度と痛みは、これら3つの組織が深く関係してきます。
むし歯の進行度は、CO・C1・C2・C3・C4の5段階であらわします。
ちなみに、「O」というのは「ゼロ」ではなく「オー」と呼ぶので、COは「シーオー」と呼びます。
それぞれの進行度の症状をまとめると、次のようになります。
むし歯というより、「むし歯になりかけ」「むし歯の前兆」といった状態です。
この段階で治療するのがベストですが、実際には難しく、なぜならむし歯を自覚できないケースが多いからです。
歯を削る必要はなく、フッ素塗布・丁寧な歯磨きによって改善できます。
歯の表面がむし歯になった状態です。歯の表面のエナメル質が溶かされますが、
エナメル質は刺激に対して強いので、痛みを感じることはほぼありません。
状態によっては歯を削らずに治せることがありますし、削ったとしても範囲はごくわずかです。
むし歯が象牙質まで進行した状態です。硬いエナメル質を突破したことで、
ここまで来るとむし歯は一気に進行していきます。象牙質は刺激に対して敏感ですから、
この段階までむし歯が進行すると、痛みを感じるようになります。
むし歯が歯髄まで進行した状態です。感覚を伝える神経がむし歯菌に侵されることで、
痛みはズキズキとした激しいものになります。C2の痛みは、冷たいものを飲食した時などに感じるものですが、
C3では常に激痛を感じるようになり、痛み止めを飲んでもあまり効果がないこともあります。
むし歯の末期段階の状態です。神経が死んでしまっていれば、痛みを感じることはありません。
また、歯はほとんど残っていないため、被せ物を立てるのも難しいでしょう。
抜歯した後は、ブリッジなどの人工歯で対処することになります。
上記で解説した進行度から分かるとおり、むし歯で歯に痛みを感じるのはC2の段階です。
むし歯がC2まで進行することによって、象牙質が露出するため、冷たいものなどがしみるようになるのです。
つまり、歯に痛みを感じた時点で歯科医院に行っても、むし歯はC2まで進行していることになります。
そうなると、治療にあたって歯を削る必要があり、
そのため多くの人は、「むし歯の治療法=歯を削る」というイメージを持っているのです。
しかし、C0もしくはC1でむし歯に気づくことができれば、歯を削らずに治すことも可能です。
むし歯を早期発見するためには、定期的に検診を受診するのが確実です。
定期検診は予防歯科の一つとして、フッ素塗布などの予防治療を行います。
しかし、それだけでなくお口の健康状態も確認するため、痛みを感じないむし歯も発見することができるのです。
そうすれば、歯を削らずにむし歯を治すこともできるでしょう。
半年に1回ほどの割合で定期検診を受診していれば、
むし歯を予防しやすくなりますし、発症した際にも重症化を防ぐことができます。
ちなみに、歯周病においても同様のことがいえます。
いかがでしたか?
最後に、むし歯の進行と症状についてまとめます。
1. 歯の構成 :主に、「エナメル質」「象牙質」「歯髄」の3つの組織によってできている
2. むし歯の進行度 :むし歯の進行度は、CO(シーオー)・C1・C2・C3・C4の5段階に分けられている
3. むし歯の痛みと進行度 :痛みを感じるのはC2の段階のため、痛みを感じた時点でむし歯は進行している
4. むし歯を早期発見するためには :定期検診を受診することで、痛みを感じないむし歯も発見することができる
これらのことから、むし歯の進行と症状について分かります。
むし歯は、発症した時点では痛みを感じることはなく、象牙質まで進行することで痛みを感じます。
つまり、むし歯で歯が痛むということは、そのむし歯は象牙質まで進行しているということであり、
この時点で歯科医院に行ったとしても、早期治療とはいえないのです。