透明感のある白い歯は、清潔感のある印象をつくる大切な要素です。
そのため、見た目の美しさを重視してセラミック治療を選ばれる方も多いのではないでしょうか。
ただ、治療から数年が経ち、ふと鏡を見たときに
「以前より色がくすんで見える気がする」
「黄ばんできたように感じる」
と、不安になった経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
「高い費用をかけたのに、変色するなんて…」
「セラミックって、一生白いままじゃないの?」
そんな疑問を持たれるのも無理はありません。
しかし実際には、セラミック自体が劣化して変色しているケースは多くありません。
見た目の変化には、いくつかの別の理由が関係していることがほとんどです。
今回は、セラミックが黄ばんで見える主な原因と、適切な対処法について分かりやすくご説明します。
まず知っておいていただきたいのは、セラミックという素材そのものは非常に変色しにくいという点です。
イメージしやすい例として、キッチン用品を思い浮かべてみてください。
セラミックは、陶器のお皿やマグカップと同じ性質を持っています。
一方、保険診療で使われる白い詰め物(レジン)は、プラスチック製の保存容器に近い素材です。
プラスチック容器にカレーやミートソースを入れると、洗っても色が残ってしまうことがありますよね。
これは、プラスチックが色素や油分を吸収しやすいためです。
それに対して陶器のお皿は、色の濃い料理を盛り付けても、洗えば元の白さに戻ります。
セラミックの歯もこれと同じで、素材の内部まで色が染み込むことはほとんどありません。
では、なぜ「黄ばんだ」と感じてしまうのでしょうか。
その答えは、セラミックの表面、あるいは周囲の環境の変化にあります。
もっとも多い原因は、セラミック自体の変色ではなく、表面に付着した着色汚れ(ステイン)です。
毎日使っているマグカップも、コーヒーや紅茶を繰り返し飲んでいると、内側に茶渋が付いてきます。
これは素材が変色したのではなく、表面に汚れの膜が残っている状態です。
お口の中でも同じことが起こります。
セラミックは汚れが付きにくい素材ではありますが、
といった習慣があると、少しずつ着色が蓄積していきます。
これらはあくまで「汚れ」ですので、適切なクリーニングを行えば改善が期待できます。
見落とされがちなのが、セラミックを固定している接着剤の変化です。
セラミックの被せ物や詰め物は、歯科用の接着剤で歯に装着されています。
現在使用されている接着剤は高性能ですが、長年お口の中で使われるうちに、わずかな変色が起こることがあります。
特に、歯とセラミックの境目に沿って茶色い線のようなものが見えてきた場合は、接着剤の影響が考えられます。
セラミックではなく、周囲の組織が変化しているケースもあります。
年齢や歯周病、強すぎる歯磨きなどが原因で歯ぐきが下がると、セラミックで覆われていない歯の根元が露出します。
この部分はもともと黄色みが強いため、歯の色が変わったように見えることがあります。
また、神経のない歯を土台にしている場合、内部の歯が暗く変色し、その色が透けて見える場合もあります。
セラミックの被せ物といってもすべてセラミックで作った「オールセラミック」と、プラスチックが混じった「ハイブリッドセラミック」があります。ハイブリッドセラミックの場合は、配合されているプラスチックが経年変化による変色を起こすことがあります。そうすると黄ばんできたと感じるかと思います。
この場合は素材自体が変色しているため、元の白さに戻すには作り変えを検討する必要が出てくることがあります。
着色成分が多い物をよく口にするけれど、見た目は白いままキープさせたいという方は、オールセラミックにすることも選択肢の一つです。
変色が気になると、つい市販のホワイトニング用品を試したくなるかもしれません。
しかし、自己判断での強いケアはおすすめできません。
研磨剤の多い歯磨き粉で強く磨くと、表面に細かい傷が付き、かえって汚れが付きやすくなることがあります。
また、市販のホワイトニング剤は天然歯向けのものが多く、セラミックには効果が期待できません。
着色汚れであれば、歯科医院でのクリーニングで改善することがあります。
また、周囲の歯との色調バランスを整えるために、天然歯のケアを検討する場合もあります。
状態によって対応は異なりますので、見た目の変化に気づいたときは、早めに相談することが大切です。
こうした日常の積み重ねが、セラミックの美しさを長く保つことにつながります。
セラミックの歯が「変色したように見える」背景には、さまざまな理由があります。
多くの場合、適切なケアや確認によって原因を把握することが可能です。
気になることがあれば、まずは歯科医院で状態を確認してみてください。
現在の状態に合った対応を知ることが、安心への第一歩になります。