2023.10.24
はじめのご相談内容 | 「転倒してしまい、地面に顔面を強く打ち前歯が折れてしまった。見た目と噛む機能の回復をしたい」とご相談いただきました。 |
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診断結果 | 拝見したところ、右上の前歯(中切歯/1番)が根元から折れていました。 残っている歯の根っこも短いため、抜歯が必要と診断しました。 さらに右隣の歯(側切歯/2番)も抜けかけており、グラグラ揺れていました。 |
行った治療内容 | 折れてしまった歯は残しておくことが難しいため、抜歯の必要性をご説明し、同意いただきました。 また、抜けかけている歯は元の位置に戻してから隣の歯(犬歯/3番)と固定し、温存を試みました。 そのため、抜歯後の治療としては、両隣の歯を削って繋げて被せる「ブリッジ」ではなく、人工歯根を埋め込む「インプラント治療」をご提案しました。 前歯を支えている骨は薄く抜歯後に骨の吸収が起きやすいため、抜歯とインプラント埋入を同時に行う「抜歯即時埋入法」を選択しました。 まず、抜歯前にCT検査およびインプラント埋入シミュレーションを行い、インプラントを正確に埋入するためのマウスピース装置「サージカルガイド」を作製しました。 骨とインプラントが結合するまでの間は、両隣の歯に仮歯を装着し、見た目にも配慮しました。 4ヶ月後、骨とインプラントが結合しました。 仮歯で問題なく過ごせたため、最終的に自然な見た目で強度もある「セラミック」の被せ物「上部構造」を作製し、装着しました。 |
術後の経過・現在の様子 | 痛みもなく、隣の歯と比べても違和感のない美しい見た目に改善しました。
患者様には「事故が起きた時には見た目や食生活がどうなってしまうのか不安が募っていたが、治療後は見た目も自然でしっかり噛めるので、安心して生活できている。事故の当初から仮歯を作製してもらえたため、見た目は歯がある状態で過ごせてありがたかった」と大変お喜びいただきました。 現在は定期検診でご来院いただき、経過を観察しています。 |
治療回数・時間 | 約6ヶ月 |
およその費用 | 650,000円 <内訳>CT検査、インプラント手術、即時埋入治療、サージカルガイド作製、骨補填材料、仮歯作製、セラミックの被せ物 |
治療のリスクについて | ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います ・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎などにかかる可能性があります ・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があります ・高血圧、貧血、不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります ・自費診療(保険適用外治療)です |
クリニックより | 前歯は骨が少なく繊細な部位なので、先に抜歯をしてしまうとインプラント治療に影響が出てしまいます。 抜歯後年月が経っている場合には、骨が瘦せてしまっていて、インプラントを入れられないことがあります。また、入れられたとしても深い位置にしか埋入できないため、被せ物のセラミックの歯が長くなってしまい、審美性が良くありません。 本症例のように抜歯即時埋入というテクニックを用いることで、薄い骨を温存し、審美性も維持できるため、抜歯前に治療方針を決めることが重要です。 |