2024.08.07
はじめのご相談内容 | 「虫歯治療中だった左上奥歯を、長期間治療せずに放置してしまった。最近冷たいものを口にするとしみるようになって心配なので、治療を再開してほしい」とご相談いただきました。 |
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診断結果 | 拝見したところ、左上奥歯には最終的な詰め物や被せ物を入れる前段階の簡易的な詰め物、「仮詰め」が装着されていました。しかし、仮詰めのまま長期間経過したため表面がすり減っており、虫歯の再発が懸念されます。
仮詰めは、治療中の歯を汚れや細菌から保護する目的で一時的に使用するもので、材料が柔らかいためすり減りやすく、長期間の使用には耐えられません。また仮詰めのまま放置すると、隙間から唾液や食べかすが歯の内部に入り込み、虫歯が再発する原因にもなります。 患者様はすでに冷たいものがしみる自覚症状があるため、早急に仮詰めを外して虫歯を除去してから、新しい詰め物で修復する必要があると診断しました。 |
行った治療内容 | 虫歯除去後の治療として、自然な白色でほかの歯と調和しやすい自費診療のガラス系セラミック「e.maxインレー」での修復を提案しました。 セラミック素材は劣化しにくく汚れも付きにくいため、虫歯の再発を抑えることが可能であることをお伝えしたところ、治療に同意いただきました。 まず、痛みを感じにくくするための麻酔を行い、左上奥歯の仮詰めを除去します。虫歯の再発を確認したため、取り残しがないよう虫歯部分に色を付ける「う蝕検知液」を使用しながら、丁寧に虫歯を除去しました。 次に歯の形を整え、歯の内部にある柔らかい組織「象牙質」を保護するコーティングを行い、細部まで正確に再現できる「シリコーン印象材」を用いて精密な型取りを行います。 約1週間後、完成したe.maxインレーがぴったりフィットしているか、噛み合わせに問題がないかを確認し、詰め物がしっかり密着するように以下の前処理を行いました。前処理で接着強度を高めたうえで、耐久性と接着力の高い「レジンセメント」を使用して装着し、治療を終了しています。 ●前処理詳細 詰め物:タンパク質の除去と、接着面に細かい凹凸を形成する「エッチング処理」を行い、無水エタノールでの超音波洗浄 歯:タンパク質の除去と洗浄を行ったあと、歯の最外層である「エナメル質」にエッチング処理を行い、象牙質には表面に薄い膜を作る「ボンディング処理」 |
治療期間 | 約1週間 |
治療回数 | 2回 |
およその費用 | 60,000円 (e.maxインレー) |
治療のリスクについて | ・治療中に痛みを伴う場合があります ・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります ・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります ・装着に際し、天然歯を削る必要があります ・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります ・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です |