2024.10.04
はじめのご相談内容 | 「左上の歯の治療を5年以上放置してしまった。最近、臭いが気になってきたのでこの機会にしっかり治したい」とご相談いただきました。 |
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診断結果 | 拝見したところ、左上の歯は歯根の神経や血管を除去して洗浄・消毒し、薬剤を詰める治療「根管治療」が途中で中断され、長期間放置されていました。その結果、内部に感染が広がり虫歯が進行しており、被せ物の装着が不可能な状態です。
このままの状態でさらに放置すると、細菌感染が周囲の組織に広がり、隣の歯にも悪影響を与えるおそれがあります。 以上のことから、左上の歯を抜歯し、下の歯との噛み合わせを回復する治療が必要と診断しました。 |
行った治療内容 | 左上の歯は温存が難しいため抜歯が必要であることをお伝えし、抜歯後の治療方法として以下の2つを提案しました。
①抜歯した部分の骨にネジを埋め込む「インプラント」で噛めるようにする方法 ②人工歯を連結した被せ物「ブリッジ」で抜歯部分を補う方法 それぞれの治療法について丁寧に説明したところ、患者様は「健康な両隣の歯を削ることに抵抗がある」との理由から、①のインプラント治療を希望されました。 併せて、抜歯部位から鼻の周囲にある空洞のひとつである「上顎洞」までの距離が近く、インプラントの埋入範囲が限られているため、手術ではインプラント埋入時用のマウスピース型装置「サージカルガイド(ノーベルガイド)」を使用することも説明しています。 まず、左上の歯(第1小臼歯)を抜歯するのと同時に骨の吸収を防ぐために抜歯した穴に人工骨を入れる「ソケットプリザベーション」を行い、骨の量をできるだけ維持するよう試みました。 約3ヶ月間、骨の回復を待ったあとCT検査を実施し、より立体的になったあご骨の形と上顎洞との位置関係を確認しています。これをもとに適切なインプラントの埋入位置をシミュレーションし、サージカルガイドを作製しました。 その後、完成したサージカルガイドを使用し、局所麻酔を行ってインプラント埋入手術を実施しました。 埋入手術から4ヶ月後、インプラントが骨にしっかりと定着していることを確認し、口腔内を撮影するカメラ「口腔内スキャナー」を用いて被せ物を作製するための型取りを行いました。 後日、完成した被せ物のフィット感や噛み合わせに問題がないことを確認したうえで、インプラントと被せ物を小さなネジで固定する「スクリューリテイン」で装着しました。 |
治療期間 | 約8ヶ月 |
およその費用 | 516,000円 (抜歯時骨造成、CT検査、サージカルガイド、インプラント埋入手術、ジルコニアの被せ物およびアバットメントなどの費用を含む) |
治療のリスクについて | ・外科処置後に痛みが長引く場合があります。必要に応じ痛み止めを併用します ・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎などにかかる可能性があります ・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があります ・高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります ・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります |