2025.02.12
治療前
治療中
治療後
はじめのご相談内容 | 「左下の奥歯で噛むと痛い。歯ぐきも腫れているので診てほしい」とご相談いただきました。 |
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カウンセリング・診断結果 | 左下の奥歯(第2小臼歯)が欠損している部分に、前後の歯を土台にして橋渡しのように歯を補う「ブリッジ」が装着されていました。しかしブリッジが揺れており、土台となっている奥側の歯(第1大臼歯)の周りの歯ぐきが腫れています。 レントゲン検査の結果、第1大臼歯の歯根が割れていて、そのため歯を支える顎の骨に細菌感染が起こり膿が溜まる「根尖(こんせん)病巣」ができていることがわかりました。 以上のことから、第1大臼歯の痛みを取り除き、お口全体でしっかり噛めるよう欠損している第2小臼歯を補う治療が必要と診断しました。 |
行った治療内容 | 歯根が割れた第1大臼歯は温存が難しい状態であること、このままだと細菌感染がさらに広がるリスクがあることを説明し、抜歯に同意いただきました。 抜歯後の治療方法として次の2つを提案しました。 ①顎の骨にネジを埋め込み、その上に人工歯を装着する「インプラント」 メリット:審美性の高さと、自分の歯のような噛み合わせが期待できる デメリット:自費診療なので比較的費用がかかる。外科的な処置が必要なため、治療期間が長い ②取り外し式の「部分入れ歯」 メリット:保険診療内で治療でき、治療期間が短い デメリット:取り外して手入れをする手間がかかる。自分の歯やインプラント治療と比べて噛み心地が劣る場合がある 患者様は「自分の歯のようにしっかりと噛めて、取り外しの必要がない方法が良い」との理由から、①のインプラント治療を選ばれました。 患者様の場合、根尖病巣によって顎の骨の量が減少しており、インプラントを支えられない状態のため、骨を再生させる「骨造成」を行ってからインプラントを埋め込む計画を立てました。 なお、もともと欠損している左下第2小臼歯も補うため、今回は2本のインプラントを埋入します。 まず抜歯と同時に、骨の再生を促す材料「骨材」を抜歯後の穴に充填する処置「ソケットプリザベーション」を施しました。 3ヶ月後、CT検査で顎の骨の回復を確認してから、骨の厚みや神経の位置などを立体的に把握できるシステム「インプラントシミュレーションソフト」を使ってインプラントを埋める位置の測定を行います。 後日、測定結果をもとに詳しい治療方法や起こりうるリスクなどを説明し、了承いただきました。 また、シミュレーションによって決定したインプラントの正確な埋入角度や方向、深さを実際の手術で再現できるよう、インプラント治療用のマウスピース「ノーベルガイド」を作製しました。 インプラント治療当日は、事前に歯のクリーニングと消毒、局所麻酔を行ったのち、ノーベルガイドを使用しながらインプラント手術を進めます。 手術方法は、歯ぐきを大きく切開せずにインプラントを埋められる「フラップレス手術」を選択し、ノーベルバイオケア社製のインプラントを2本埋入しました。 手術直後、CTとレントゲンを撮影しインプラントが正しい位置に埋入されたことを患者様と確認しました。 3ヶ月後、インプラントが骨に定着したので、口腔内を撮影するカメラ「口腔内スキャナー」でインプラント部分の被せ物を作製するための型取りを行いました。 被せ物の素材には、虫歯の再発リスクが低く耐久性の高い「ジルコニアクラウン」を選択しています。 完成した被せ物がぴったりと合っているか、噛み合わせに問題がないかを確認したあと、インプラントと被せ物を繋ぐ部品「アバットメント」を取り付けます。 最後に、取り外しやメンテナンスが容易なネジで固定する方法「スクリューリテイン」で被せ物をインプラントに装着し、治療を終了しました。 |
治療期間 | 約8ヶ月 (抜歯後の治癒待機の3ヶ月、インプラント埋入後の待機の3ヶ月を含む) |
おおよその費用 | 875,000円 【内訳】 ノーベルバイオケア社インプラント2本 ジルコニアクラウン (抜歯時骨造成ソケットプリザベーション費、CT検査シミュレーション費、インプラント埋入費、ノーベルガイド使用費、アバットメント費、ジルコニアクラウン作製費用をすべて含む) |