2025.03.10
治療前
治療後
はじめのご相談内容 | 「左上奥歯に古い詰め物があり、レントゲン上で虫歯が再発している可能性があると指摘された」とご相談いただきました。 |
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カウンセリング・診断結果 | 拝見したところ、左上奥歯2本の噛み合う「咬合面」から歯と歯の間にかけて、歯科用プラスチックを直接詰める処置「コンポジットレジン充填」が施されていましたが、経年劣化により茶色く変色していました。 さらにレントゲン撮影の結果、詰め物の下で虫歯が再発する「二次虫歯」が確認できました。 コンポジットレジンは熱によって変形しやすい材質であるため、わずかな隙間から細菌が入り込み、虫歯が広がったと考えられます。 このまま放置すると、虫歯がさらに進行し痛みが出る可能性があるため、早急に治療を行う必要があると診断しました。 |
行った治療内容 | はじめに劣化したコンポジットレジンを除去し、内部で広がっている虫歯を取り除きます。その後、歯の形を丁寧に整え型取りをして詰め物を作製・装着する「インレー治療」を提案しました。 詰め物の範囲が噛み合う面のみの場合、コンポジットレジン充填で修復することが一般的です。 しかし、今回は詰め物の範囲が歯と歯の間にまで及んでいるため、コンポジットレジン充填に比べて治療回数が増えるものの、耐久性や適合性に優れた修復が可能であるインレー治療を選択しました。 またインレーの材質として、以下の3つをお伝えしました。 ①自費診療の「セラミック」 メリット:変形・変色のリスクが少なく、長期間自然な見た目を維持できる。汚れが付着しにくいため、二次虫歯のリスクの軽減が期待できる デメリット:自費診療のため費用がかかる ②保険診療の「強化型プラスチック(CAD/CAM)」:プラスチックとセラミックが混ざった素材 メリット:保険診療のため比較的安価に治療できる デメリット:耐久性が低く、変色するリスクがある ③保険診療の金属「銀歯(パラジウム)」 メリット:保険診療のため費用を抑えることが可能 デメリット:審美性に劣り、経年劣化により隙間が生じやすいことから二次虫歯のリスクがある それぞれの特徴を丁寧に説明したところ、患者様は「見た目が自然で二次虫歯のリスクを軽減できるセラミックインレーで治療したい」と希望されました。 さらにセラミックの素材として、透明感があり自然な色味を持つガラス系セラミック「e.max」と、セラミックの中でもとくに耐久性のある「ジルコニア」をおすすめしたところ、審美性に優れたe.maxを選択されています。 まず痛みを軽減するために麻酔を行い、左上奥歯2本のコンポジットレジンを除去します。 二次虫歯があることを確認し、虫歯部分を赤く染め出す「う蝕検知液」を用いて丁寧に虫歯を取り除きました。 次に削った歯の形を整え、削った面には神経に近い組織「象牙質」を保護するためのコーティングを施します。 その後、細部まで正確に再現できる「シリコーン印象材」を用いて、歯の型取り「精密印象」を行い、削った部分に仮詰めをして初回の治療を終了しました。 約1週間後、完成したe.maxインレーが歯にぴったりとフィットしているか、噛み合わせに問題がないかを確認し、接着強度を高めるため以下の処理を行っています。 詰め物の装着面:表面を粗くする「エッチング処理(酸処理)」を施したあと、無水エタノールを使用した超音波洗浄 詰め物を装着する歯:歯の表面「エナメル質」にエッチング処理を施し、象牙質には表面に薄い膜を作る「ボンディング処理」 最後に、耐久性と接着力の高い「レジンセメント」を使用してe.maxインレーを装着し、治療を終了しました。 |
治療期間 | 約1週間 |
治療回数 | 2回 |
おおよその費用 | 約120,000円 (e.maxインレー2本) |
治療のリスク | ・治療中に痛みを伴う場合があります ・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります ・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります ・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります ・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です |