東京赤坂の歯医者さん、赤坂クレール歯科クリニックです。
今回のテーマは「ホワイトニングで歯が白くなる理由」です。
ホワイトニングは歯を白くする治療ですが、ドラッグストアでも同様の効果を謳った歯磨き粉が存在します。
これを比較した場合、費用の安さから市販のホワイトニング歯磨き粉に興味を示す人が多く、
歯科治療ではなくホワイトニング歯磨き粉で歯を白くしようとする人がいます。
ただしこの場合、歯科治療のホワイトニングのような効果はありません。
目次
歯が変色には2つのパターンがあります。
1つは歯の表面が変色しているパターンで、カレーやコーヒーなどを飲食したことによる変色です。
この場合、変色しているのはあくまで歯の表面のみになります。
もう1つは象牙質が変色しているパターンで、歯の変色としてみなさんが連想するのはこちらのパターンです。
象牙質は歯の表面の奥に位置するため、この場合変色しているのは歯の表面ではありません。
日本国内で販売されているホワイトニング歯磨き粉は、“削って落とす”の方法で歯を白くしています。
ですから、例えば歯の表面にコーヒーが付着した変色なら、元どおり白くする効果があるでしょう。
しかし、象牙質の変色となると市販のホワイトニング歯磨き粉では対応できません。
と言うのも、歯磨きで磨けるのはあくまで歯の表面のみですから、その奥に位置する象牙質は磨けないのです。
つまり、象牙質が変色している人が市販のホワイトニング歯磨き粉で歯を磨いても効果はなく、
市販のホワイトニング歯磨き粉の効果は「歯の表面のクリーニング」のみになります。
一方、歯科治療のホワイトニングなら変色した象牙質を白くする効果があります。
もっとも、正確に表現するなら「歯を白くする」ではなく「歯を白く見せる」であり、
実際に象牙質が白くなるわけではありません。これについては、ホワイトニングの仕組みを知ることで理解できます。
ホワイトニングでは過酸化水素を含んだ薬剤を使用しており、表面のエナメル質の構造を変化させます。
本来は角ばった形状のエナメル質が丸みを帯びた形状へと変化、
これによって光の乱反射が起こるようになり、奥に位置する象牙質がうつらなくなって歯が白く見えるのです。
つまり、エナメル質に対してマスキング効果をもたらすのがホワイトニングの仕組みであり、
例えるなら透明ガラス状態のエナメル質を曇りガラス状態へと変化させるのです。
そして光の乱反射によって歯が白くうつり、歯が白くなったように見えるのです。
歯科治療のホワイトニングでも万能ではなく、歯によっては白くなりません。
次のケースではいずれもホワイトニングの効果は期待できず、
中にはホワイトニング自体が不可能なケースもあります。
詰め物・被せ物・入れ歯・ブリッジ・インプラントが該当します。
ホワイトニングは天然の歯にしか効果がなく、例えば銀歯を白くすることはできません。
神経を失った歯は黒く変色していますが、この場合もホワイトニングの効果は期待できません。
もっとも、虫歯の放置さえしなければ神経を失うような事態にはならないでしょう。
テトラサイクリンとは、ひと昔前に子供の風邪薬で使用されていた抗生物質で、
現在でも治療内容によっては使用していますが、テトラサイクリンの影響で変色した歯はほとんど白くなりません。
上記で解説したように、歯の種類・変色の原因によってはホワイトニングすることが不可能ですが、
全く別の対処方法を用いることで歯を白くできます。
例えば、人工物に対しては素材をセラミックにすることで審美性が高まります。
また、テトラサイクリンで変色した歯などはホワイトコートにて対処が可能であり、
ホワイトコートとは歯のマニキュアのようなもので、塗ることによって歯を白く見せます。
このような対処方法が存在するため、ホワイトニングできない場合も医師に相談してみると良いでしょう。
いかがでしたか?
最後に、ホワイトニングで歯が白くなる理由についてまとめます。
1. 歯の変色のパターン :歯の表面が変色している場合と、表面の奥の象牙質が変色しているパターンがある
2. ホワイトニング歯磨き粉の効果 :歯の表面の着色・汚れにしか対処できず、象牙質を白くする効果はない
3. 歯科治療のホワイトニング :エナメル質の構造を変化させ、象牙質をマスキングして歯を白く見せる
4. ホワイトニングで白くできない歯 :人工物・神経を失った歯・テトラサイクリンで変色した歯
5. ホワイトニングできない場合の対処 :セラミック治療・ホワイトコートなどの方法で対処できる
これら5つのことから、ホワイトニングで歯が白くなる理由について分かります。
そもそも、市販のホワイトニング歯磨き粉には歯科治療のホワイトニングで使う薬剤が含まれておらず、
これは資格を持った医師でなければ薬剤の取り扱いができないのが理由です。
そのため、市販のホワイトニング歯磨き粉は歯科治療のホワイトニングとは全くの別物であり、
前者は分かりやすく表現するなら「歯の表面のクリーニング」と解釈した方が良いでしょう。