前歯は、笑ったとき・話したときに自然と見えるため、見た目の印象に大きく関わる部分です。
そのため、前歯の治療では「白く自然な見た目」に仕上げたいと考える方が多く、セラミックによる修復が選択肢の一つとなります。
しかし一口に「セラミック」といっても、いくつか種類があり、強度・透明感・適している部位・費用の目安などが異なります。
本記事では、前歯に用いられることの多いセラミックの種類を中心に、特徴・違い・選び方の考え方を整理して解説します。
目次
「セラミック治療」とは、歯を補う際に陶材(セラミック)を用いる治療方法の総称です。
金属を使用しないもの(オールセラミック)もあれば、金属にセラミックを焼き付けたもの(メタルボンド)もあります。
なお、セラミック治療は保険適用外となることが一般的で、費用は医療機関によって異なります。
また、機能面や見た目のバランスを考慮して選択する必要があるため、どの素材が適しているかは歯科医師が口腔内を確認した上で、相談のうえ決定されます。
前歯向けの代表的なセラミック素材は以下の4つです。
| 種類 | 特徴の傾向 | 強度の傾向 | 色調の特長 | 金属使用 |
|---|---|---|---|---|
| オールセラミック(e-max) | 透明感があり自然 | ◯ | 自然で調和しやすい | なし |
| ジルコニアセラミック(ジルコニアフレーム+陶材) | 見た目と強度のバランス | ◎ | 自然な仕上がり | なし |
| フルジルコニア | とても強い | ◎◎ | やや透明感に乏しい場合がある | なし |
| メタルボンド | 歴史が長い | ◎ | 光の透過がやや少ない | あり |
ここからは、それぞれをもう少し詳しく見ていきます。
e-max(イーマックス)はガラスセラミックと呼ばれ、透明感と自然な色調が出しやすい素材です。
前歯の見た目を重視したい場合によく選択肢にあがります。
といった特徴があります。
向いている例
・笑ったときの自然さを大切にしたい
・自然な白さを希望したい場合
ジルコニアをフレーム(内側)に使用し、外側にセラミックを焼き付けたものです。
強度と透明感のバランスが良いため、前歯にも奥歯にも使われることが多い素材です。
向いている例
・かみ合わせの力が強い方
・丈夫さと見た目の両立を重視したい方
ジルコニアだけで作られたタイプで非常に高い強度が特徴ですが、e-maxより透明感は控えめになることがあります。
前歯で使用する場合は、色調の調整を慎重に行うことが多いです。
金属の上にセラミックを焼き付けたものです。
歴史が長く、強度に優れますが、金属不使用のセラミック素材が普及した現在は選択肢として減少傾向にあります。
前歯は光を通すため、透明感の再現が重要です。
周囲の歯の色・質感・光の反射との調和が大切です。
前歯の場合は、仮歯で見た目を確認しながら進めることが多いのも特徴です。
セラミック治療は、自由診療(保険適用外)となることが一般的です。
そのため、費用は使用する素材・技工物の製作方法・歯科医師や歯科技工士の技術料などにより変わります。
また、前歯の場合は見た目のバランスや自然さを重視するため、色や形を細かく調整する工程が必要となることが多く、全体の費用に影響する場合があります。
前歯の印象を整える治療では、セラミック以外にも以下が関係することがあります。
これらが必要になる場合があり、総額は個々のケースにより異なります。
前歯は表情・会話・写真など日常でよく見える部分のため、
といった点が仕上がりに影響します。
そのため、費用だけで決めるのではなく、
を含めて相談しながら進めていくことが大切です。
【見た目の好み + お口の状態 + 歯科医師の判断】
この3つが揃うと「納得のいく仕上がり」につながりやすくなります。
| 選び方の重点 | 例 |
|---|---|
| 自然さ・透明感 | e-max |
| 見た目と強度のバランス | ジルコニアセラミック |
| とにかく強度 | フルジルコニア |
前歯は、見た目にも日常の表情にも関わる大切な部分です。
素材ごとに特徴があるため、実際には口の中の状態やかみ合わせを確認して選択していきます。