2024.06.28
口腔内スキャナーを使用した光学印象で浅い被せ物の形を決定しました。
ジルコニア製のオーバーレイです。
はじめのご相談内容 | 「銀歯が外れてしまった。歯が欠けたり詰め物が外れたりを繰り返しているので、心配せず食事ができるようにしっかり治したい」とご相談いただきました。 |
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診断結果 | 拝見したところ、右下の奥歯(第2小臼歯/5番)に装着されていた保険適用の銀の詰め物「メタルインレー」が外れており、虫歯も再発していました。 詰め物が外れたまま放置すると、歯の内部まで虫歯菌に感染し、痛みが生じたり神経が死んでしまったりする可能性があります。 また、今回メタルインレーが外れた奥歯だけでなく、周りの歯も食いしばりの影響で削れている部分が多く見られました。 これらを踏まえ、新しい詰め物は耐久性の高い素材で作製する必要があると診断しました。 |
行った治療内容 | これまで同様、虫歯部分だけ削ってメタルインレーでの修復もできますが、周囲の歯が欠けるたびに再び治療が必要になる可能性が高いため、噛み合わせの面全体を覆う治療が必要です。患者様も「何度も詰め物が外れたり欠けたりしているので、安心して噛めるようにしたい」と希望されていました。
ただ、面全体を覆う必要があるものの、歯の根元まで覆う被せ物は不要です。そのため、歯の削る量を最小限に抑え、歯の上に乗せる形で接着し修復する「オーバーレイ(オクルーザルベニア)」を提案しました。 まず麻酔を行い、右下奥歯(第2小臼歯)の虫歯を除去したあと、オーバーレイを装着できるよう噛み合わせの面を丁寧に削り、細菌感染と接着力の低下を防ぐための薬「スーパーシール」を塗布しました。 次に、口腔内スキャナーを使って歯の形を3Dデータ化する「光学印象」と、被せ物を作るための精密な型どりを行いました。 最終的な被せ物ができるまでの間、削った部分に仮の詰め物を入れて初回の治療を終了しました。 1週間後、完成したジルコニア製のオーバーレイを合わせたところ、ぴったりと適合したことが確認できたため、最終的な装着をする前に被せ物がしっかり密着するように以下の前処理を行っています。 ・新しい被せ物にタンパク質を除去し接着面を加工する「エッチング処理」を行ったあと、エタノール液を使った超音波洗浄 最後に、耐久性と接着力が高い「レジンセメント」で歯と被せ物を接着し、噛み合わせに問題がないことを確認してから治療を終了しました。 |
治療期間 | 約1週間 |
治療回数 | 2回 |
およその費用 | 85,000円 (ジルコニアオーバーレイ) |
治療のリスクについて | ・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります ・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります ・装着に際し、天然歯を削る必要があります ・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります ・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です |
クリニックより | セラミックの接着工程が確立されたことで、本症例のような浅い被せ物(オーバーレイ)治療が可能となりました。
従来は被せ物(クラウン)の形にするために多くの歯質を削っていた症例でも、削る量が少なく済み、患者様にとって非常に有益な治療法と言えます。 詰め物でお悩みの方は、当院にお気軽にお問い合わせください。 |