2024.08.06
はじめのご相談内容 | 「小学生のころに前歯2本をぶつけて神経を取る治療をしてもらったが、年齢とともに色が変色してきたのできれいにしたい。また、この機会に歯を全体的に白くしたい」とご相談いただきました。 |
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診断結果 | 拝見したところ、中央の前歯2本は歯の神経がない「失活歯」で、周囲の歯よりも黒ずんでいました。 患者様によると、小学生のときにぶつけた際、傷んだ神経を取り除き神経が入っていた管内部を清掃する処置「根管治療」を受けたとのことです。 根の周りに膿がたまる「根尖(こんせん)病巣」は認められなかったものの、過去の根管治療の際に、歯の内部の歯質「象牙質」へ栄養を送る管「象牙細管」に血液などが入り込み、失活歯が変色したと考えられます。 そのため、まずは根管治療を再度行って変色の原因を取り除き、歯全体はホワイトニングで白さを取り戻す必要があると診断しました。 |
行った治療内容 | 治療の順番や内容については、以下を提案しました。
①歯内部の変色の原因を取り除くために再度根管治療を行う 根管治療を行うために穴をあけた歯の裏側を密閉する際、歯科用プラスチック「コンポジットレジン」を使用することが多い傾向にありますが、経年劣化で変色しやすいのがデメリットとしてあげられます。 また、患者様は「きれいに治したい」と希望されていたことから、ホワイトニングでトーンアップする歯の色に合わせて、裏側に穴があいている前歯2本も自然な白さを再現する「オールセラミッククラウン」で修復することを併せて説明したところ、治療に同意いただきました。 まず前歯2本に根管治療を実施し、オフィスホワイトニングを当院で施術したあと、ご自宅でホームホワイトニングを1ヶ月ほど行っていただいてから、被せ物の土台となる前歯2本の形を整えました。 前歯はお口をあけたときに目立つ部位でもあることから、仮歯を作製して新しい被せ物ができるまで装着いただいています。 仮歯で歯の形や噛み合わせに問題がないことを確認したあと、自然な色調を再現するために一眼レフカメラで周りの歯を撮影し、色味をしっかり確認してから型取りを行いました。 約2週間後、「ジルコニアレイヤリング法」によってオールセラミッククラウンが完成しました。この方法は、自然な白さと透明感を持つ「セラミック」の中でも、とくに高い強度を持つ「ジルコニア」をフレームに使用し、その外側に透明度の異なるセラミックを焼き付けます。これにより、耐久性と審美性を兼ね備えた被せ物を作製することが可能です。 後日、完成したオールセラミッククラウンの適合と噛み合わせに問題がないことを確認し、耐久性があり接着性に優れる「レジンセメント」で装着して治療を終了しました。 |
治療期間 | 約2ヶ月 (ホワイトニングとオールセラミッククラウンの治療期間) |
およその費用 | 約352,500円 (デュアルホワイトニング、ジルコニアレイヤリングオールセラミッククラウン2本分) |
治療のリスクについて | ・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります ・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります ・得られる効果は歯の質により様々です。予定通りの白さに達しない場合もあります ・装着に際し、天然歯を削る必要があります ・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります |